選択権は常に自分の中にある

自分と他人を比較することが多い人は、

自分より上手い人の演奏を聴いた後だと、
自分と比べてしまい落ち込むという話を聞きます。

 

僕も、上手い人の演奏を聴いた時は
自分と比較して落ち込む事もあったし、

「来週は本番で演奏しなきゃいけない」という場合には、

「あの人だったら、もっと上手く吹けるのに」
「あの人だったら、ミスも無く上手くやれるだろう」

そんな風に考えて、

「いっそ自分と、演奏を変わってもらいたい」なんて考えた事もあります。

 

 

 

不安を感じる事も、
劣等感を感じる事も、
恥ずかしい事とは思いませんが、

 

本番で演奏するのは、
「上手いあの人」ではなく、自分自身です。

誰かと演奏を変わる必要は無いし、
自分は自分で、その時出来る事を真剣にやればいいんです。

 

 

 

 

 

自分の中の「恐れ」から演奏を止めようとするのは、
後悔が残る選択です。

例えば、
学生の頃に、好きな子に告白しようとして、
でもフラれるのが怖くて何もしなかったら、

その後も長い間、
「あの時ああしていれば…。」と考えてしまいますよね。

「やらない選択」というのは、
失敗しない、傷つかない選択のように見えて、
実は傷を残してしまう事もあります。

 

演奏でも一緒です。

本当は、演奏を楽しみにしていたのに、
失敗を恐れたり、自分の演奏が不安になって、
演奏するのを諦めてしまうのは、

「あの時、失敗しても良いからやってみればよかった」と、
後々後悔してしまう事が多いんですね。

選択する権利は、常に自分自身にあります。

やるのも、やらないのも、自分次第なんです。

 

 

 

 

一方で、もし仮に、
本当に演奏出来ないほど体調を悪くしたり、
何かしらの事情が出来てしまったなら、

それは、演奏しないという選択も「有り」です。

プロにだって、
事前にお金を払って、お客さんも集めて、
それでも出演がキャンセルになる事例があるし、
演奏や指揮の代役を立てる事はあります。

 

 

僕の印象に残っている例で、

霧島国際音楽祭に参加していた時、
聴講として聴きに行った演奏会で

お子さんの出産が間近になったから、
演奏をキャンセルしたヴァイオリニストの方がいました

 

僕は当時、
1度演奏を引き受けたからには、
何があっても演奏しなければならないと考えていたけど、

演奏のキャンセルを目の当たりにして、
その理由も知り、それまでの考えが変わりました。

 

思えば、お子さんの出産には1度しか立ち会えないのです。

1度の人生の中で、
家族をとても大切の思っている人に、
演奏のために、家族を犠牲にしろなんて誰が言えるでしょう?

きっとその人にとって、
「家族が増える瞬間に立ち会う事」は
演奏以上に大切な事だったのでしょう。

人によって、時によって、
演奏する事だけが1番じゃなくても良い。

自分の大切にしたいもの、優先したいものは、
自分で選択していって良いのです。

 

 

 

僕たちには常に、
自らの行動を自分で決定してゆく「選択の自由」があります。

自分は本当はどうしたいのか?
失敗しても後悔しない選択はどっちなのか?

自分自身に問いかけ、
「自分の事を知っていく」のは大切です。

 

演奏の本番が近づくにつれ、

「自分が演奏しても良いのか?」
不安になる人もいると思います。

 

そんな時に思い出して欲しいのは、

・僕達には常に「選択の自由」がある

という事です。

他の誰に変わる事無く、
「あなた」が、そこで演奏して良いし、

自分自身が、選ぶ権利があるんですね。


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