演奏でも、絵描きでも、スポーツでも、
自分以外の人も同じことをやっている時は、
当たり前ですが皆が皆、同じレベルと言う訳じゃありません。
何年も演奏を続け、音楽的なセンスも成熟している人もいれば、
楽器をはじめたてで、音を出すので精一杯な人も世の中にはいます。
でも、それでいいと思うのです。
演奏する事に魅力を感じた人は、
自分が感じる何かを演奏で表現するために、
それぞれのペースで上達を目指していっているし、
生涯を通じて夢中になれるものがあるのは、
それだけでも人生が豊かで、幸せな事だと思うのです。
ただ、どんなものでも一緒ですが、
ある程度習熟してくると、周りの人の上手さも判るようになってきて、
自分との差を感じてしまう事がありますよね。
音楽では、ソロの演奏だけではなく、
1つの楽曲を複数人で演奏するアンサンブルという形態があります。
3人や5人ほどで演奏するアンサンブルの場合、
演奏者一人一人の力量が如実に表れるし、
そんな中で、自分と比べて周りのレベルが高く感じたら、
委縮してしまう事もあるかもしれません。
また仮に、
アンサンブルの共演者が全員同じレベルだったとしても、
周りの人達が自分より上手いと思い込み、遠慮してしまうと、それも委縮した演奏として聞こえてしまいます。
これはアンサンブルに限らず、合奏でも同じことが言えるでしょう。
僕は音大で沢山の先輩方とアンサンブルで演奏させていただく機会に恵まれ、
それが自分の成長にもつながったと実感しています。
だから、上手い人とのアンサンブルのチャンスがあるのなら、
積極的に参加するべきと考えていますが、
初めて先輩とアンサンブルを組んで、
自分より上手い人と同じ舞台で演奏する事になった時。
正直、自分のせいで足を引っ張ってしまうのではと恐ろしくなった事もあります。
もしかしたら同じように、
自分の力量に自信が持てず遠慮してしまったり、
仮にアンサンブルを組んでも、サポートする事だけを望み、自分を出すのが怖い、メロディを失敗するのが怖い。
そんな事を考えている人が居るかもしれません。
それでも僕は、
もし仮に自分が世界一上手い演奏者たちとアンサンブルで共に演奏する事になったとしても、
そんな時は、いつもと変わらず、
周りの音を聴く事を意識しながら、自分を信頼し演奏していく事が大事だと思うんです。
その為に「自分を信頼して演奏する練習」で、自信を育てる必要もあるでしょう。
アンサンブルでも合奏でも、基本的な部分は同じです。
自分の演奏にばかり集中しても、周りと音を合わせていくことは出来ません。
譜面だけを見ていても、そこに相手の音符が書かれている訳でもありません。
だから、
耳をよく使って、共演者の演奏をよく聞きながら、
それに合わせて自分も演奏していく必要があるのです。
「周りの音を良く聞いて演奏する」事が大切ですよね。
そして音を合わせる時は、
相手に遠慮しながら演奏する事は止めた方が良いのです。
もちろん、メロディを引き立てるような、名脇役としての演奏を求められる場面もありますが、
基本的にアンサンブルでの演奏は「二人三脚」です。
相手に引っ張ってもらい過ぎても、
それは相手の演奏の負担になるし、
自分が突出し過ぎても、
それは楽曲のテンポやバランスが壊れる原因となります。
どんな人が共演者でも、
相手の演奏を聴きながら、二人三脚で歩調を合わせ、共に演奏していく事が必要になるんですね。
二人三脚を実現するには、
「相手と自分、どちらかがどちらかに頼りっぱなし」では成り立ちません。
組んでいる者同士がお互いに歩調と息を合わせ進んでいく必要があります。
その為には、
相手への信頼も大切ですが、
同じように自分が自分を信頼していく事も大切なんです。
なぜなら、自分もまた「相手と同じ歩幅で歩む」という意志が必要だからです。
意思があっても、自分への信頼が無いのでは、
どうして歩むことが出来るでしょうか?
どうしたら自分自身を信頼していけるようになるか?
1つには普段からの自分の行いを認めていくという事です。
自分を褒める
あるいは出来た事をきちんと認め、評価していくう習慣を持つ事で、
自分で自分の自信を築いていくことが出来ます。
小さい頃に、
両親から褒められたりしたことが自信になっていくのと同じですね。
自分を認める存在がいるから、
人は自信を持てるようになるんです。
自分自身が自分を認める存在となっても良いんですね。
自信を身に付けることは、
成功体験を積むことも良いですが、成功は簡単ではありません。
一方で、自分への信頼が強くなれば、
本番のような緊張する場面でも自分の実力を発揮することがしやすくなるから本番も成功しやすくなるし、
そこに本番での成功体験も加わってくれば、自信はさらに強化されます。
オーケストラや吹奏楽の中で1つのポジションに座り演奏している時には、
周りと自分の力量に差を感じたとしても、
同じ音楽を奏でる楽団の1人として、
音を聴き、合わせようとする事は最後までやり切るべきだし、
メロディを託されているなら、堂々と演奏するべき場面も出てきます。
僕らは自由に演奏していける権利があり、
同時に、自分が演奏する事に対して責任も担っています。
「責任」というと、
プレッシャーを感じてしまうかもしれませんが、
要は、舞台に立って演奏する立場の人として、
演奏中は何があっても自信を持ってやり切る。
そんなハートを育てていくのも大切だという事です。
その為に出来る最初の一歩は
自分が自分を認め、信頼してあげる事です。
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