何かの演奏を聴いていて、
難しいフレーズを1つのミスなく演奏し切り、
ハイトーンも全て当てて、技術的にはすごく上手い演奏のはずなのに、
いまいち魅力を感じなかったり、
逆に、
多少のミスがあっても、
聴いていて心地良く「調和がとれている」と感じたことはあるでしょうか?
この違いは、音程感の良さにあると感じています。
魅力的な演奏を聴かせるためには、
音色や音の響きが良い事も大事ですが、
より良い音程感・音の合わせ方を追求していくも大切なんですね。
例えば管楽器や声楽のソロ曲の演奏。
大抵の場合は独奏ではなく、ピアノが伴奏として一緒に演奏してくれますよね。
人の耳はそもそも高性能で、特別な訓練をしてなくても、
心地の良い協和音と調和がとれない不協和音との区別がつくようになっています。
そして、
伴奏としてピアノが一緒に演奏してくれているという事は、
少なくとも2つの楽器の音が交じり合って演奏しているという事です。
楽器の音同士が上手く交じり合っていれば、
聴衆側には音が調和して聞こえる為、心地よく演奏を聴いていることが出来るんですね
だけど一方、
伴奏とメロディで著しく音程感がずれていると、
それは不協和音を聴いているような感覚になって、
聴いていて奇妙な感じがしたり、心地良さが無くなってきたりします。
音楽の表現上、
わざと不安にさせるような不協和音を狙って演奏する場合もありますが、
意図していない音程の悪さは、心地よく演奏を聴いてもらう事を邪魔してしまうんですね。
音色の良さとか、
ミスなくメロディを演奏する事だけが大事なんじゃなく、
メロディと伴走、互いの音が調和してこそ、
魅力的な音楽の美しさが体現されてくるんです。
これはピアノ+ソロ楽器の様な
小規模な編成の演奏だけではなく、
オーケストラや吹奏楽の様な、
大規模で多人数のアンサンブルでも同じことが言えます。
特に大人数の合奏では、
演奏者が多いほど、聴こえてくる音も多くなってくるため、
一人一人が好き勝手な音程で演奏したら大変です。
テンポでも音程でも、
各自が好き勝手に演奏するというのは、楽曲の崩壊につながってしまいますよね。
良い音で、良いハーモニーを生み出せると演奏もしやすくなるし、
聴いている側も心地良く音楽を聴けます。
オーケストラの様な大人数で音を合わせるというのは、
「そこ」でしか生まれない響きも出てきて、
演奏している側にとっても快感となります。
だから、
どんな場合、どんな編成の演奏でも、
いつも「音を聴きあい、音を合わせる」という意識を演奏者各自が持つ事が大切なんですね。
「音を聴き、音を合わせる」と言いましたが、
これは、
音程を合わせるとは、「442HZのピッチ」に揃えるという意味では無いからです。
例えばドイツのオーケストラでは、
オケのピッチは440㎐で合わせるようにしていますし、他の国でも基準は変わります。
国によって音程の基準となるピッチが違うのは、
一説にはその国の人達の好む音質に合わせたり、
楽器の要因があってピッチが変わっているという話もありますが、
重要なのは
アンサンブルや合奏で演奏するという事は、
人と人が「音をあわせる」という事あり、
隣の人、周りの人の「音」が、音を合わせるべき対象になるんですね。
だから「チューナー」を絶対の指標とするんじゃなく、
隣の演奏者と、共演する仲間と
「音を聴きあい、音を合わせる」意識を持つ事が必要なんです、
先程も言いましたが、人の耳はとても高性能です。
「音を合わせる」という事を普段から練習している僕らなら、
意識するだけでも変わってきます、
もちろん、チューナーが全くの役に立たないという事ではなく、
個人練習の時に自分の音程と響きのバランスを確認する等、
チューナーが役立つ部分も必ずあります。
ただ、誰かと一緒に演奏する時には、
「互いの音を良く聴く事が音程を合わせる1番の秘訣になる」
という事です。
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