演奏を聴いてくれている目の前の人をどう思う？

例えば見知らに人と話す時

例えば大勢の前でプレゼンをする時

例えば人前で演奏を行う時

自分が普段の状態と違い
「緊張している」と自覚できるようなシチュエーションは
いろんな場面で感じますよね。

緊張が無ければ、
普段通りの自分で、
もっと練習した通りの、
良いパフォーマンスが出来るのに。

そんな風に感じる人もいれば

緊張するからこそ、
普段の自分より優れた、
素晴らしいパフォーマンスが出来るんだ。

そんな考え方もあります。

僕は、
緊張は誰にでも起きる事であり、

緊張が「悪い方向」
＝目の前の人や失敗を恐れ、体が硬くなる方向
に、働いてしまうと、
緊張がパフォーマンスを妨げてしまうので

逆に、
緊張を自然に受け入れ、
上手く乗りこなす事が出来れば、

緊張は自分の味方となると思うんです。

ここでポイントとなるのは

誰もが、当たり前に緊張する中で、

どうして緊張が
人によって悪い方向に
作用する場合があるのか？

という点です。

あなたは、
緊張が悪い方向に働くのは、
いったい何が原因だと思いますか？

この原因を読み解くには

・緊張している時の自分は
目の前の人をどう思っているか？

という事を
振り返ってみる必要があります。

演奏の場面で想像してみてください。

これからいよいよ、
半年以上かけて準備してきた
定期演奏会の本番です。

会場まであと5分。

あなたは今、
ステージ横の舞台裏で楽器をもって、
本番のベルが鳴るのを待っています。

あなたにとって、この演奏会は、
高校の3年生として、
部活で行う最後の演奏会でもあります。

お世話になり、憧れていた先輩や
家族、友人、大切な人たちが

舞台裏から板1枚向こう側の
あの客席に座って
演奏を心待ちにしてくれています。

いよいよ、本番のベルが鳴り響きました

あなたは、他の仲間たちと共に、
拍手をもって迎えられながら
ステージのそれぞれの席についていきます。

席について、
周りを見渡してみて、
これからこの場所で、
本番が始まると実感したその時、

ドキドキ・ソワソワして、落ち着かない感じ
興奮して、ワクワクしてる感覚
不安と希望が織り交ぜになったような、

そんな、「緊張している感覚」を、
感じ始めた事に気が付きます。

顔を上げて、前を見てみましょう。

沢山のお客さんが座っています。

談笑したり、プログラムを見たりして
これから始まる演奏を心待ちにしています。

もしかしたら、
知っている顔も、見つけたかもしれません。

この時、あなたは
目の前のお客さんたちに
どんな印象を持ってますか？

目の前の人たちは、
どんな人達だと思いますか？

目の前の人達は、
あなたの演奏を審査し評価する
無慈悲な審査員でしょうか？

ただ、そこにいるだけの
マネキンのような存在でしょうか？

それとも、
考えると緊張してしまうから
あえて、目の前の人がいないように考え、
無視して演奏しようとしていますか？

確かに、
目の前の人達が

今後の演奏生活を続けられるか審査する人、

ミスを見逃さず、失敗をチェックし
何かやらかしたら
ブーイングを起こす様な人達だったら

誰だって緊張するし、
演奏が不安になるし、
演奏する事そのものがイヤになります。

でも、本当はそうじゃない事を、
既にあなたは知っているはずです。

目の前の人たちは、
あなたを審査したり、
ミスをあざけ笑いに来たような人達ではなく

演奏を楽しみに来てくれた人であり、
あなたが音楽を届けたい
愛すべき人達である事を。

緊張が悪い方向に働く原因はここです。

目の前の人達が、
緊張や不安を生み出している訳じゃありません。

僕達が目の前の人たちを
どう思い、どんな風に観ているか？

これこそが
不安を生み出し
緊張を自分の敵としてしまう原因なのです。

あなたは、
誰の前で、どんな演奏をしたいんでしょうか？

演奏だけに限りません。

あなたは、
誰と、どんな時間を過ごしたいですか？
一緒に、どんなことをしていきたいですか？

どんな経験や体験を、
分かち合っていきたいですか？

どんな風に、
目の前の人達と関わっていくのか？

僕たちは、
相手とのかかわり方や、
その人をどんな相手として感じるか？を
自由に選べるんです。

目の前の人たちを
憎むべき敵や
恐ろしい陪審員として考える事も

音楽で、演奏で、
勇気づけたい、癒したい相手として考える事も

自由に選んでいけるんです。

これから先、
目の前の人達にどんな演奏を聴かせたいのか？

どんな風に、共に
演奏会の時間を過ごしていきたいのか？

自分自身の価値観に沿って、
相手への関わり方を選べた時、

緊張は自分の味方となり、
素晴らしいパフォーマンスの実現を
手助けしてくれます。

ぜひ１度、
目の前に人達に、
いかなる態度で関わっていきたいのか？

考えてみてください。