前回は肺の位置や、息が入る仕組みが分かると、自然な呼吸の仕組みを取り戻し、息が楽になり演奏しやすくなるというお話をしました。
今回は「肺の位置は?実際に息を吸う時ってどんな動きをしているの?」というお話です。
1つここで呼吸の動きを確かめる良い運動を紹介します。
これはボイストレーナーのクリスティン・リンクレーターさんのエクササイズの1つです。
①口から、スーッと発音するようにしながら息を吐きだし続ける
②息が無くなったら、口を閉じ、鼻をつまむ
③少しだけ我慢をして、口を閉じたまま、鼻だけつまむのを止め、存分に息を吸う
いかがでしょう?胸のあたりに空気が入ったのが感じられるのではないでしょうか?
息は胸の方にある肺に入ってゆきます。これが事実です。
他の所には入っていきません。おへそのあたりには空気は入っていきません。
このエクササイズでまずは実感してみてください。
この事実をふまえた上で、息を吸う時、どんな動きをしているか?ざっと結論から言います。
「胸の中にある肺が膨らみ、横隔膜が下がってより大きく膨らむことが出来る。
肺が膨らむのに合わせて肺を守っている肋骨や、近くにある鎖骨、肩甲骨も動けて、頭から骨盤底まである脊椎も、1つ1つが伸縮できている」
です。
もう少し詳しく書いてゆくと・・・。
①肺の位置は意外と上。鎖骨の少し上の方まで肺はある。
皆さん肺って言うと、もしかしたら胸の中心あたりを思い浮かべるかもしれませんが、
実は鎖骨の少し上の方に肺の先端があるのです。思ったより上の方に感じるかもしれませんね。
胸の中心にある胸骨の下、いわゆるみぞおちの少し上から、背中にかけて、ドーム状の横隔膜があります。
横隔膜は背中側の方が深くなっているので、肺も胸側より背中側の方が深い位置に下端があります。
②実はまわりの骨も動けます
肺の周りにある肋骨も、関節があるため動くことが出来ます。もちろん鎖骨や肩甲骨も自由に動けるので、
息を吸うのに骨が全く動かないということはないのです。
もちろん関節のない骨は動けませんが、肋骨も関節で脊椎とつながっています。
人間は、実は手や足以外にも関節ってたくさんあり、けっこう自由に動けるものなんです。
③脊椎も呼吸の時に、伸縮があります
体をねじったりできるのは脊椎に1つ1つ椎間板がくっついて自由に動けるためですが、
実は脊椎って呼吸の時にも伸縮があるのです。
吸う時に縮んで、吐くとき伸びる。
ただし、これは自分から起こす動きというより、自然と起きている事です。
「ああ、ここも自然と動いてるんだなぁ」と気軽に思ってください。
いかがだったでしょうか?息を吸う時ってこんな動きをしているんです。
冒頭で紹介したクリスティン・リンクレーターのエクササイズがもっと知りたくなって、さらに英語が読める方は彼女の著書Freeing the Natural Voiceによりたくさんのエクササイズが載っているようですので、やりたい人はためしてみるのも面白いと思います。
それではまた!
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