管楽器は様々な場面で大きな音量を求められることがあります。そういう時、どう音量を出せばいいか悩んでる方もおられるのではないでしょうか?今回は音量の為の「息のコントロール」について解説します。
(Facebookの方に投稿した動画「管楽器の大きな音の出し方」を見てくださった方には、今回の記事はそれのもう少し詳細な捕捉となります。)
さて、息の扱い方ですが、重要なのは「息の圧力、スピードはコントロール出来る」という点です。これをコントロールしながら、大きな音量を出すために管楽器を演奏するのが良いと僕は思います。理由を順々と書き出してみましょう。
①「息を思いっきり吐き出す」はコントロールしずらい。
楽器を吹いた事のある方は経験があるかもしれませんが、楽器に向かって息を思いっきり出すことでも音量は出せはします。ただし、それはコントロールが難しい事なのです。
なぜかというと、身体は素直に脳が送った動きの指令を受け取るので、この場合「息を思いっきり吐き出す」事を素直にそのまま行います。そうすると、息の残量や次に続いてくるフレーズを計算に入れずただ「息を思いっきり吐き出す」事に集中する事が起きます。
そうまでして全力で吐き切った息は、かなりの勢いやエネルギーがあるので、音質にも影響します。管楽器でそのエネルギーをそのまま振動にしてマウスピースに伝え音を出すにはかなり強靭な唇も必要になりますが、大抵はエネルギーに負けて唇が上手く振動出来ないので、必然と音質も荒っぽくなってしまいます。
もちろん、表現としてそういう荒っぽさが求められている場合は構いませんが、引き出しは多い方が良いので「息を思いっきり吐き出す」だけを音量を出すやり方としなくてもいいのです。
②フレーズはその後も続いている
例えば20~30小節ぐらい、全体でffの演奏をするというのは、オケでも吹奏楽でも、どんな編成の音楽にもある事ですが、この20-30位の小節ってけっこう長く、どうしても途中で息継ぎが必要になります。で、全力で息を吐ききったら結果として、息切れしたり、息を吐き出しつくしたことで呼吸が苦しくなり、深呼吸で息を整えたりしたくなりますよね?
こうなると「息を整えたくなってもまだフレーズは続いている、休める所はないし、息を吸える1拍で呼吸を整えるしかない!」と考えてしまいますが、これは非常に厳しい、難しいです。余裕がない状態で余裕を持たせようとすることが出来るでしょうか?
なのでフレーズの長さ、どこまで吹き続けるのかも考慮に入れて、無理せず息をどう吐くかを考える必要が出てきます。つまり吐く息をコントロールするという事なのです。
③息は上方向に向かって吐き出される
身体の仕組みとして、肺にたまった息はお腹周り(腹筋はもちろん、脇腹や背中も含めて)の筋肉や、骨底版の筋肉も働いて肺に圧力がかかり吐き出されます。この時「肺の中の空気は気道や口の中を通って唇や鼻から出ていく」という流れが起きます。
で、この時に注意したいのは「身体の仕組みとして、管楽器で言えば前方向、楽器の方に向かって息を吐きだすポンプはない」点です。息は上方向に吐き出され、気道という曲線のあるパイプを通って結果的に唇や鼻という出入り口から出ているのです。前の方に息を吐き出すためのポンプは身体にはありません。
息を思いっきり吐き出すと考えると、前の方に息を吐きだそうとしてしまいがちですが、それは身体の仕組みとして適している方法では無いのです。
お腹周りや骨底版の筋肉が働いて、吐き出す息の量をコントロールしながら、息は上方向に向かっていき気道を通って鼻や口から出ていく。これが身体の仕組みから見た息の吐き出し方です。
以上の理由から、僕は管楽器を吹くときは息はコントロールできると考え、息をコントロールするというやり方が望ましいと思っています。
ですが、じゃあ「息を吹き込まない様にしよう」と考えるのは危険です。演奏するとき息は自然と口から出ていってるので、吹き込まない様にしようと考えると結果として出入り口の唇のあたりに不必要な力を加えたりだとかをしてしまいます(僕もやってしまってました。)
なので、シンプルに「息をコントロールして楽器を吹こう、で、息は口から出て行ってるんだ」というという風に考えればいいと思います。
少々長くなったので今回はこの辺にして、次回は僕の経験上での「息のコントロール」のやり方について解説してゆきます。
コメントを残す