どうしても緊張や不安を感じて、
押しつぶされそうになる。
本番の舞台前で、こんな感覚に陥る事があるでしょうか?
僕自身、こういう時ほど、
本番で失敗するのが怖くなったり、
上手くいかないイメージばかり浮かんで、
舞台に出るのが嫌になってしまったことがあります。
僕は医者ではないので、
緊張や不安を治療するような、
医学的なアドバイスは出来ませんが、
緊張や不安がひどくなった時、それをいかに緩和させて、なるべく平常心を取り戻すか?
僕なりのアイデアを1つ、今日は紹介しようと思います。
僕が用いているのは、
「呼吸している自分自身」を意識する、というアイデアです。
僕達にとって、
「呼吸する」というのは当たり前すぎて、
特に意識したことが無い人もいるかもしれませんが、
吸って、吐いて、吸って、吐いて…。
特に緊張している時ほど、
自分自身の呼吸の動きに注目してみると、
いかなる緊張状態であっても、
動きがを邪魔されていない事に気が付くはずです。
どんな状況であっても、
世界に空気がある限り、
僕達の呼吸を邪魔できる存在は居ないんですね。
呼吸をするという事は、
すなわち、
身体が生きようとしているという事です。
つまり、
いくら緊張したって、
本番前に不安になったって、
それで死ぬ事は無いし、
生きる事を邪魔されてもいないという事です。
僕は当時、
緊張で押しつぶされそうになった時、
こうして、
【呼吸をするのを、誰にも邪魔出来ない】ことを思い出し、
生きる事を邪魔される事は無い
=自分は生きて、ここに居て良いのだ
という、「自分自身の存在の肯定」を行っていました。
これをやると、
緊張や不安、失敗への予感など、
自分が感じるネガティブな要素を緩和し、
ポジティブさや自信が少しづつ蘇り、
平静さを取り戻していくことが出来たんですね。
もちろん、
人によって緊張の度合いは異なります。
あるいは、ここまで読んで、
「被害妄想が過ぎるんじゃない?」と、思う方もいるかもしれません。
中には、緊張や不安で死にそうになる感覚とはまったく縁の無い方もいるでしょう。
別に、こうしたやり方が必要ないのなら、
それはそれで良いんです。
だけど、
人によって緊張の度合いが異なるという事は、
自分が思っているより、
他の人は緊張や不安を恐ろしく感じる事もある。という事です。
緊張や不安を感じた時、
それが自分にとって、どれほど大きいものなのか?
それが分かるのは、自分だけなんですね。
だからこそ、
自分にとって大事だと思う事ならば、
他人の言葉や意見を鵜呑みにせず、
自分が、自分自身を支えるために、
必要な事をしていくべきなんです。
「生きる」
というのは、僕たちの不可侵の権利です。
そして、大げさに言えば、
「呼吸する」とは、すなわち身体が生きようとする事であり
呼吸によって身体も動くので、
「生きるために自然と身体が動いている」
という実感も伴う動作です。
呼吸に注目する事で、
自分自身が「生きている」という実感に、いつでも立ち戻れるんですね。
演奏する人にとって、
舞台で演奏する事は、
何より喜ばしく感じる事だと思います。
そして、緊張や不安によって、
それが上手く出来ない時、
ひどくつらく、悔しい思いをする事もあると思います。
でも、
緊張や不安というのは、
つまるところ、自分の心の動きの1つであり、
それ自体が、僕達の活動を妨げている訳じゃありません。
例え、緊張や不安が共に在ったとしても、
それでも僕らは、
上手くいかなくとも、演奏して良いのだと、
僕は思います。
もし今度、
押しつぶされそうな緊張を感じたとしたら、
ぜひ「呼吸をする自分自身」を感じてみてください。
そこには、何物にも邪魔されず、
生きている自分自身がいます。
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