演奏会の本番が迫っている時や、
文化祭、芸術祭なんかの行事でもうすぐ開催日という時、
「このままで大丈夫かな?」
「お客さんに失望されないかな?」
みたいなことが気になってしまい、
まるで締め切りに追われるように焦ってきてしまう、という感覚って、覚えがありませんか?
実際、締め切りに追われる感覚って、
正直イヤなものだと思います。面倒だとも感じます。
締め切りの全てが悪影響である訳ではありませんが、
こと、人前に立ちながらパフォーマンスをし続ける「演奏」について言えば、
こういった「焦り」が無い、気持ちに余裕があるときの方が、
上手くいきやすい事があるのも事実です。
一方で、
締め切りに追われる、納期に追われるというのは、
確かに余裕がなくなるものですが、
普段よりも集中して物事に取り組めるから、
練習の時は集中して曲を仕上げ
本番では、気持ちに余裕をもって行動できるように
上手く切り替えられたら、
もしかしたら、割と良い使い分けが
できるかもしれませんね。
とりあえず今回は、
使い分けのアイデアは置いておいて、
気持ちに余裕を持たせるアイデアについて
話していこうと思うんですが、
僕たちは皆「夏休みの宿題」とかで、
締め切りに追われる感覚って、
経験済みだと思うので(笑)
追われる感覚がどういうものか?については
説明の必要は無いと思います。
ところで実は、
この締め切り感や、
余裕の無い感じというのは、
自分で勝手に生み出しているもの。
だとしたら、どう思いますか?
まず極端な話、
・危険の差し迫っている緊急事態
・人命が懸かっている状況
こういった本当の緊急事態でもない限り、
・間に合わせなければならない事
というのは存在するのでしょうか?
もちろん、
仕事の納期や、連絡の返信といった、
社会上、やらなくてはならないもの。
というものはありますが、
これはあくまで、
社会の中で生きる上で
お互いの信用獲得の為に
「期日を守る」というルールを設けて
そのルールの守り具合で
どんな相手か判断するため、
という理由だったり、
仕事先の相手に
スムーズに業務を引き渡すため
=迷惑をかけないため
という理由があって守るルールなので
そういったルールが適用されるのも、
会社の中だったり、
誰かと、どこかと、仕事を分担している場合であり、
演奏の時にも
同じルールが適用される訳じゃないんです。
もちろん、人が付き合う上で
最低限のマナーはありますが、
それはただ、
お互いが気持ちよく
一緒に演奏し合うために
互いを尊重しあうためにマナーであり、
人として当たり前の
お互いの尊重が有るだけなので
それが原因で余裕が無くなってしまう訳ではないんですね。
例え雑誌のマンガを思い浮かべて欲しいんですが、
最近の雑誌で見るマンガって、
絵が下書きのままとか、
数ページ書いて、やむ追えず終了とか、
そういった内容ってありませんか?
「期日までにきちんと絵を描いて雑誌に載せなければいけない」
こういったルールも、
きっと漫画家の方達や、編集、出版社の間であると思います。
もちろんこれは、
制作側からしてみたら、準備している印刷や予定が狂ってしまい、
多くの人に迷惑をかける事だから、止めるべきだ。
という理屈から生まれるルールなのですが、
それって制作側からの視点であって、
マンガを読む側にしてみたら、
例えば作者が療養の為に休載とかだったら、
身体を良くして、また良いものを書いて、読ませて欲しいと思う人も、
少なからずいるんです。
音楽でも似たように
何かを表現をしようとする時、
時に人は「相手を満足させなきゃ!」みたいに考えて、
とにかくそれを優先して考えて行動するから、
気持ちに余裕を持てなくなる時がありますが、
聴きに来るお客さんの立場で考えた時、
・良い演奏を聴きたい
・楽しい演奏会を味わいたい
こんな事を望んでは無いでしょうか?
お客さんとして考えたら、
正直、楽しめればいいという人も少なからずいる訳で、
楽しい演奏を聞かせてくれれば、
その他は別に気にしないという人も
もしかしたら結構な数いるかもしれませんよね。
もちろん、
全ての人がこうである訳じゃないですが、
全ての人の心情を理解して
同じように満足させようとするのは
かなり困難な事であり、
聴いてくれる人の事を思って演奏するのは
演奏者として当然の感覚ですが、
その為にどうしたらいいのか?
それを考えた時に、
何かに追われる感覚が無く、
余裕をもって演奏した方が、
良い演奏を届けられると思うのならば、
締め切りに追われる感覚で演奏するんじゃなく、
これで良いんだ、今やっている演奏がベストだ。
と意識して演奏するのもまた、有りではないでしょうか。
変に自分の中でルールを固定せず、
「この日までに、間に合わせなきゃ、こうしなきゃ!」から
「当日までに、どんなことをやってみよう?どんな風にしたら楽しそうかな?」
みたいに考えてみるのも、ときにはお勧めします。
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